無線LANとは何なのか?工事をして導入するメリット

“LAN” と聞いた時、大半の方は「無線LAN」を連想されるのではないでしょうか。今ではスマートデバイスの台頭で、ご家庭はもちろんオフィスにおいても導入が進んでおり、まず知らないという方はいらっしゃらないと思います。

そんな無線LANですが、どのようなシステムになっているかご存知でしょうか?また、よく「Wi-Fi」のことを無線LANと思っている方も多いようですが、厳密には異なるものになるのです。そこでここからは、”無線LAN” を様々な角度でご説明いたします。

▶目次

  1. そもそも無線LANとは何?工事をして導入するメリットは?
  2. 無線LANと「Wi-Fi」との違いは?
  3. 無線LANには6つの規格がある
  4. 無線LANはセキュリティリスクに注意!
  5. まとめ

1、そもそも無線LANとは何?工事をして導入するメリットは?

まず、無線LANの前に「LAN」とはどのようなものか説明しておきましょう。
LANとは、Local Area Network(ローカルエリアネットワーク)の略語になり、簡単に表現すると、『限られた範囲内にあるPCや通信・情報機器などをケーブルや無線電波などで接続し、相互にデータ通信ができるようにしたネットワーク』のことです。
次に ”無線LAN” ですが、こちらは名前のイメージ通り、「Wireless LAN(ワイヤレス ラン)」とも呼ばれ、ケーブルがなくてもインターネット接続できるシステムの総称です。そのLANシステムには「有線LAN」があり、PCとルーター、ハブをLANケーブルで接続してネットワークを構築するものです。一方の無線LANは、LANケーブルの代わりに「電波」を使ってネットワークを構築するものです。

その無線LANを工事でネットワークを構築する場合、「親機」と「子機」が必要になります。無線LANを利用するためには、親機(無線LANルーター)と、パソコンなどの端末に装着する子機が必要ですが、最近はほとんどのPCやスマートフォンに子機の機能が内蔵されているため、親機があれば無線LANが利用できます。もちろん、子機機能が内蔵されていなければ別に用意する必要があります。

そこで、オフィスに無線LANを導入するメリットはどのようなものか? デメリット面と合わせて確認してみると以下の通りとなります。

無線LANのメリット

  • 配線が不要なため、機器の周囲が綺麗にできる
  • 移設、増設が容易にできる
  • 電波が届く範囲ならどこからでもインターネットに接続できる

無線LANのデメリット

  • 有線LANと比べて通信速度が遅く、接続が不安定になることがある
  • 有線LANよりも機器が高い
  • セキュリティ面でデータ流失のリスクもありえる

LANケーブルを必要としないため、ケーブルの散乱や電波の届く範囲ならどこからでもアクセスできることが一番のメリットですが、セキュリティ面に関しては注意が必要になります。

また、「無線LAN = Wi-Fi」と思われている方も多いのですが、その違いは次の項でご説明いたします。

2、無線LANと「Wi-Fi」との違いは?

最近ではスマートデバイスの急激な普及に伴い「Wi-Fi」という言葉が注目されていますよね。
そこで、よく前述の通り ”無線LAN=「Wi-Fi」” と混同されることが多いのですが、厳密には無線LANとWi-Fiは同じものではないのです。

無線LANは、1990年代前半に市場に出回るようになったのですが、当時は異なるメーカーの機器の間で接続が上手く出来ないという問題があったようです。そのため、利用者にとっては非常に使い勝手が悪く、ケーブルを介さずに電波で接続できる画期的な機能でも、無線LANは中々世の中に普及しなかったそうです。

そこで、「Wi-Fi Alliance」という団体が無線LANを世に広めていくため、製品が無線LANの標準規格である「IEEE802.11シリーズ」に接続できるかどうかをテストし、接続できると保証できる製品に対して「Wi-Fi」というブランド名を付けることを許可したのです。これが、「Wi-Fi」の原型となります。

現代においては、市販される無線LANの機器の殆どがWi-Fiの認証を受けているため、無線LANをWi-Fiと呼ぶことが多くなったのです。普通に利用している方にとっては、「無線LAN=Wi-Fi」で問題はないのですが、厳密に表現すると、
『無線LANという大きなくくりのなかにWi-Fiがある』ということになります。

3、無線LANには6つの規格がある

無線LANには、いつくかの規格があることはご存知でしょうか?
各メーカーから色々な無線LANの機器が発売されていますが、対応している規格により通信速度や周波数が変わります。

6つの規格は以下の通りとなります。

無線LAN規格 通信速度(最大) 周波数帯
IEEE802.11ad(11ad) 6.7Gbps 60GHz帯
IEEE802.11ac(11ac) 6.9Gbps 5GHz帯
IEEE802.11n(11n) 300Mbps 2.4G帯/5GHz帯
IEEE802.11a(11a) 54Mbps 5GHz帯
IEEE802.11g(11g) 54Mbps 2.4GHz帯
IEEE802.11b(11b) 11Mbps 2.4GHz帯

次に、周波数帯に「60GHz帯」「5GHz帯」「2.4GHz帯」もそれぞれ特徴があります。

■「60GHz帯」

  • 速度が速い
  • 電波の直進性が高いため、狭い範囲で高速通信したい場合に最適

■「5GHz帯」

  • 障害物に弱い
  • 電子レンジやBluetoothなどの電波干渉を受けない

■「2.4GHz帯」

  • 障害物に強い
  • 電子レンジやBluetoothなどの電波干渉を受けやすい
  • 屋内・屋外共に利用可能

購入されると分かりますが、規格に沿っていればメーカーに関係なく接続することができます。なので、ご家庭でもオフィスでもお使いのPCが購入する無線LANの規格に対応しているか購入前に確認が必要となります。

4、無線LANはセキュリティリスクに注意!

無線LANは、有線LANのようにLANケーブルを介しての接続と違い、「無線LANは電波が屋外に漏れてしまう」ということが考えられます。無線LANは電波を利用するために、有線と比較して傍受等が容易であることにリスクにさらされています。企業などの組織が無線LANを導入する際、情報セキュリティ上で以下の様なリスクが考えられます。

➀通信内容の傍受及び改ざん

悪意のある第三者が故意に電波を傍受し、

  • IDやパスワード、クレジット情報などの個人情報
  • 社内外のメール通信の内容

など、傍受した通信内容を書き換えて発信するなどの改ざん行為が起こる可能性があります。

➁内部ネットワークへの不法侵入及びなりすまし

無線LANを介した企業ネットワークへの不正侵入にも十分な注意が必要になります。これは、個人情報や機密情報を不正に取り出すとともに、特定の人物になりすまして通信し、不正な情報を流すなどの行為が行われる危険性があります。

➂不正なアクセスポイントによる通信内容の傍受

悪意のある第三者により不正なアクセスポイントが設置され、そのアクセスポイントを正規のアクセスポイントと誤認させられた利用者の端末が接続することで、通信内容が傍受される恐れがあります。

➃通信の妨害

悪意のある第三者によって、コンピュータウイルス等を流されデータやシステムを破壊される危険性や、不正な電波発生源が設置されることによる電波干渉等により、通信速度が低下する又は通信が不可能となる恐れがあります。

現代社会はネットワーク通信の発展により、以上の様なリスクが大きく連日ニュースにも取り上げられています。

一般的には無線LANルーターに様々な無線セキュリティ対策が施されています。電波の漏洩を防ぐことはできませんが、これらのセキュリティ対策によって電波でやり取りする情報を暗号化したり、第三者からの悪意あるアクセス・攻撃を遮断したりすることで情報が傍受されたり、LAN内に侵入される危険を防ぎます。ですが、悪人の方々も試行錯誤しながら攻撃してきますので、企業側も様々なセキュリティ対策が求められているのです。

5、まとめ

ここまで無線LANについてご説明して参りましたが、現代社会においては必要不可欠なものになっているのではないでしょうか。最近では、スマートデバイスの発展により街中でもWi-Fiが必需品となり、オフィスにおいても無線LANを導入する傾向が高くなってきています。

手軽で便利ということが一番ですが、個人やオフィスにおいても情報漏えいや不正アクセスなどのリスク回避は絶対に必要になってきます。ここでは、無線LANとはどのようなものか知っておいていただければ幸いです。


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