無線LANの6種類の規格の違いを理解しておこう

現在のオフィスのネットワーク環境で利用数が増加している「無線LAN」ですが、規格があることはご存知だったでしょうか? もちろん知っている。という方が殆どかと思いますが、では違いは何かご存知ですか?と聞かれると?になってしまいそうですよね。

無線LAN、正確にはWi-Fiの通信規格は、それぞれの機器がどのくらい性能を持っているか目安のための基準となり、その規格が ”IEEE 802.11” シリーズです。現在では、バージョンや通信速度など性能の違いによって6種類に分類されています。そこで今回は、無線LANの規格について詳しくご説明いたします。

▶目次

  1. 無線LANの6種類の規格とは
  2. 周波数帯「60GHz帯」「5GHz帯」「4GHz帯」の違い
  3. 11ad/11ac/a/b/g/nそれぞれの特徴
  4. まとめ

1、無線LANの6種類の規格とは

無線LANの規格「IEEE802.11」は国際的な標準規格となり、通信速度や周期数の帯域の違いから、

  • 11ad(イレブンエーディー)」
  • 11ac(イレブンエーシー)」
  • 11n(イレブンエヌ)」
  • 11a(イレブンエー)」
  • 11g(イレブンジー)」
  • 11b(イレブンビー)」

と、現在6つの規格があります。詳しくは以下の通りとなります。

無線LAN規格 通信速度(最大) 周波数帯
IEEE802.11ad(11ad) 6.7Gbps 60GHz帯
IEEE802.11ac(11ac) 6.9Gbps 5GHz帯
IEEE802.11n(11n) 300Mbps 2.4G帯/5GHz帯
IEEE802.11a(11a) 54Mbps 5GHz帯
IEEE802.11g(11g) 54Mbps 2.4GHz帯
IEEE802.11b(11b) 11Mbps 2.4GHz帯

「11ac」や「ac」という表記は、「IEEE 802.11ac」が省略されたものです。また、「ac」や「n」などのアルファベットは、規格のバージョンを表します。
特徴などは次の項で詳しくご紹介いたします。

2、IEEE802. 11ad/11ac/a/b/g/nそれぞれの特徴

それでは、6つの規格の特徴を見ていきましょう。

「IEEE802. 11ad(11ad)」の特徴

11adは、60GHz帯という高周波数帯を使用し、理論値で最大7Gbpsという高速通信を実現する次世代無線通信規格のひとつです。60GHz帯では2.4GHz帯や5GHz帯と違って広い帯域幅を確保できるため、高速な無線伝送が実現できます。

「IEEE802. 11ac(11ac)」の特徴」

従来の11aでは1チャネル最大20MHz幅、11nでは最大40MHz幅までの使用となっていましたが、11acでは80MHz~最大160MHz幅まで情報を使用することができます。帯域幅を拡大し、情報の通り道が広がることで情報伝送が効率化され、更なる無線通信の高速化を実現できます。

「IEEE802. 11a(11a)」の特徴

11aは、周波数帯が異なるので電子レンジのノイズに干渉しない特徴があります。しかし、障害物による電波障害がデメリットとなり、特に金属やコンクリートでは電波障害の影響が強く、対応しない無線機器もあります。

「IEEE802. 11b(11b)」の特徴

11bは、ISMバンドと呼ばれる2.4GHzの周波数帯域を使用します。最大伝送速度は11Mbpsですが、電波の強度によって通信速度が異なります。電波が強い所ほど速度が速くなる特徴があります。

「IEEE802. 11g(11g)」の特徴

11gは、11bの上位規格で5倍ほどスピードアップしたものになります。11bとも互換性を持がありますので、11gに対応しているなら、11bにも対応しています。電子レンジのノイズによる干渉はやや軽減されています。

「IEEE802. 11n(11n)」の特徴

11nは、2009年9月に正式な規格として制定され、信号の変調方式や符号化方式の改良により理論速度が450Mbpsや600Mbps(300Mbps+300Mbps)の製品も発売されるようになり最も広く普及するようになりました。ブロードバンド環境で動画や大容量データを楽しむのに向いている特徴があります。

基本的な事で、最新の規格ほど速くそれだけ高価になります。順番としては、

➀IEEE802.11ac(11ad)
➁IEEE802.11n(11ac)
➂IEEE802.11a(11n)

となっています。

3、周波数帯「2.4GHz帯」「5GHz帯」「60GHz帯」の違い

前項でもご紹介した通り、無線LANには規格が定められており、その規格ごとにどの周波数帯を使用するかも決められています。無線LANは、当然「電波」を使い通信を行います。その電波には、現在3種類の「周波数帯」があります。

一般的には、「2.4Ghz」「5Ghz」だったのですが、2012年12月にIEEE802.11adの登場で「60GHz」という高い周波数帯も使用されることになっています。その違いを見ていきましょう。

「2.4Ghz」の特徴

2.4G帯は、ほとんどのWi-Fi機器で利用できる帯域です。通常、電波を利用する際に必要な許可が必要なく、「Bluetooth」「キーボードやマウス」「無線ヘッドフォン」、さらに「電子レンジ」などにも使用されています。
そのため、他の機器からの影響を受けやすく、通信が不安定になることもありますが、電波は遠くまで届き障害物などの影響は少ないといった特徴があります。屋内・屋外共に利用可能です。

「5Ghz」の特徴

5GHz帯は、規格の「11a/n/ac」で利用できる周波帯域です。2.4Ghzと比べて他の機器からの影響を受けにくく、安定した通信が可能です。ですが、障害物への透過性が低く、壁などの遮蔽物が多いと電波が届きにくい特徴があります。

「60Ghz」の特徴

60Ghz帯は、前述の通り11adから採用され最新の周波帯域となります。7GHzと広い周波数帯域が使える大きな特徴があり直進性が強いので、室内の障害物が多い場所では使いにくさはありますが、狭い範囲で超高速通信をしたい場合は最適です。

以上の様にそれぞれの周波数帯域で特徴はありますが、現在販売されている無線LANの製品は、複数もしくは全ての規格が扱えるものが大多数を占めています。複数の規格を切り替えて使えるものや、複数の規格が同時に使用できる機器もあり、お使いになるオフィス環境によって機器を選択できます。

4、まとめ

ここまで無線LANの規格に関する説明でしたが、一般的なオフィスであれば11acか11nを導入していれば問題ないかと思います。下位互換もありますので、古い規格(11b/11g/11a)の機器とも通信できます。現在は11adが最新規格となっていますが、今後も新たに性能が向上した規格が登場してくることでしょう。とりあえずは、どのような規格があるのか知っておくと機器の購入の際には役立つのではないでしょうか。


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